ご自身の血液から抽出した血小板の力を活用する治療法です。
関節内(変形性関節症など)と、関節外(靭帯損傷、肉離れ等のスポーツ障害)とで、費用等違いがありますので詳細をご確認ください。
保険適用外の診療(自由診療)となっております。詳しくはスタッフにお尋ねください。
PRPとは
PRP注入療法とは、PRPに含まれる成長因子(下に詳細を記します)の力を利用して、人が本来持っている治癒能力や組織修復能力・再生能力を最大限に引き出す治療です。ご自身の血液成分だけを用いた治療ですので、免疫反応が起きにくいという点も大きなメリットです。
一般的に1週間~6か月で組織修復が起こり、治療後2週間~3か月に効果の出現が期待できます。また、繰り返し治療を行うことも可能です。
治療の目的
PRP注入療法は、ご自身の血液から抽出した血小板を豊富に含む血漿(PRP)を患部に注入することにより、患部の疼痛の軽減や、損傷した組織の修復を促し、症状の改善を図ることを目的とする治療です。
治療の長所・メリット
損傷した組織の治癒・修復が促進されることが期待されます。その結果、患部の疼痛の軽減や、損傷した組織の修復が見込まれます。この治療のための入院・手術は不要で、通いながら治療を受けることができます。
また、患者様ご自身の血液を使うため、アレルギーや感染の可能性は極めて低く、安全性の高い治療です。実際に、これまでにPRPを注入した際の重篤な副作用は、これまでの国内・海外の文献を見ても報告されていません。
治療の短所・デメリット
この治療には個人差があり、効果が確実に得られるといった有効性について十分に確立しているとは言えません。また、感染症を起こしている箇所の治療や、神経を直接治療することはできません。アレルギー反応が起きる可能性や感染のリスク、製造工程でPRPが汚染するリスクは極めて低い治療法ですが、完全にゼロにできるものではありません。また、注射に伴う痛みや腫れなどが一時的に起きることがあります。
治療の方法
事前の問診後、適応となる方に対してPRP注入療法を行い、治療後には再診を行います。具体的には以下の流れのとおりです。
- ①問診
- 症状や画像検査などの結果から、この治療法の適応かどうかを判断します。
関節内(変形性関節症など)
【この治療の適応】
変形性関節症及び関節腔の障害
※年齢や健康状態により、治療を受けられない場合があります。
関節外(靭帯損傷、肉離れ等のスポーツ障害)
【この治療の適応】
四肢の靭帯、筋腱付着部およびスポーツなどによる筋・腱・靭帯(関節内は除く)の障害(靭帯損傷、アキレス腱炎、膝蓋腱炎、肘外側上顆炎、肘内側上顆炎、肉離れ、足底筋膜炎、鵞足炎、肩腱板断裂、ランナー膝等)
※年齢や健康状態等により、治療を受けられない場合があります。
適応の場合、治療を行う日程を決めます。
- ②治療(採血~注入)
- PRP治療は日帰りで行うことができます。具体的な流れは下記の通りです。
イ)通常の血液検査と同じように血液を採取します。基本的な治療では約20 mLを採血します。採血量は、注入するPRPの量によって変わります。
ロ)京セラ製PRP調整キットCondensiaを使用し、遠心分離機にて血液を分離し、血小板が多く含まれる部分のみを取り出してPRPを調製します。
ハ)PRPを患部に注入します。注入後、30分~1時間は安静にしていただきます。
- PRP注入後、数日は疼痛悪化する可能性があります。
- 治療当日の激しい運動や飲酒、マッサージなどの治療部位に刺激が加わるようなことはお控えください。
- 治療部位の感染を防ぐため、当日の入浴はお控えください。
- 採血した血液は全てPRP作成に使用し、保管しません。また作成したPRPも全て患部に注入するため保管しません。
- ③再診
- この治療に起因する疾病等の有無や治療効果を評価します。
治療後は経過観察のため、1か月後、3か月後、6か月後にご来院ください。
他の治療法との比較
この治療の適応疾患に対しては、別の治療法もあります。この治療と十分に比較し、PRP療法をお受けになるか否かご検討ください。
① ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸は慢性の関節炎、つまり滑膜炎を抑える働きがあり、関節の潤滑油としての効果が期待できます。(急性外傷に対する適応はありません。) しかしながら、PRP療法のような組織の修復を早める作用はありません。また、保険適応外の治療になります。
PRP療法と同様に注射であるため、注入に伴う痛み、腫れなどはほとんど変わりません。ヒアルロン酸は医薬品として承認されているものもあり、品質管理された安全性の高いものですが、アレルギー反応などの可能性は完全には否定できません。
② 非ステロイド性抗消炎薬
炎症を抑え、痛みを和らげる作用があります。PRP療法のような組織の修復を早める作用はなく、対症療法になります。内服や外用(塗り薬、貼る薬)など様々な種類があり、注入に比べて低侵襲で済みます。
③ステロイド性抗炎症薬
ステロイド性抗炎症薬には、炎症を強く抑える作用があります。症状は大きく改善する可能性はありますが、組織が弱くなったりするなどの副作用がでることがあり、頻回投与は困難です。また、PRP療法のような組織の修復を早める作用はありません。PRP療法と同様に注射であるため、注入に伴う痛み、腫れなどはほとんど変わりません。
治療にかかる費用について
この治療は、健康保険が適用されない自由診療です。そのため、患者様の費用負担が他の治療よりも高額になることがあります。
関節内(変形性関節症など)
Condensiaによる施術料は1キットにつき、50,000円(税別)となります。
関節外(靭帯損傷、肉離れ等のスポーツ障害)
Condensiaによる施術料は1キットにつき、30,000円(税別)となります。
(学生は、税込25,000円)
ご不明な点は、医師・スタッフにお尋ねください。
健康被害が発生した際の処置と補償等について
この治療が原因である健康被害が発生した場合には協議に応じ、必要な処置をおこないます。また、PRP療法を行う医師は、医師賠償責任保険に加入しています。健康被害が発生した際は、クリニックの相談窓口までご連絡ください。
治療を受けることを拒否することについて
この治療を受けるか拒否するかは、患者様ご自身の自由な意思でお決めください。説明を受けた後に同意されない場合でも、一切不利益を受けることはありません。
また同様に、治療を受けることに同意した場合であっても、投与までの間でしたらいつでも取りやめることができます。この場合でも、一切不利益を受けませんし、費用負担もありません。もしこの治療を受けることに同意しない場合も、最適と考えられる治療を実施できるように患者様の治療に最善を尽くします。
ただし、治療を行った後は、健康管理のために必要に応じて適切な検査を受けていただき、医学的に問題がないかを確認させていただきます。
試料等の保管及び廃棄の方法について
この治療にて患者様より採取した血液のすべてを患者様ご自身の治療に用いるため、保管等は一切おこないません。
採血した血液の状態により治療に用いなかった血液が発生した場合には、適切に処理し、すべて廃棄します。
また、患者様から取得した試料等(患者さまご自身から得られた血液試料および再生医療等に用いる情報)について、同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性または他の医療機関に提供する可能性はありません。
個人情報保護について
「個人情報の保護に関する法律」に基づき、当クリニックには、個人情報取扱実施規程があります。この規程に基づき、患者様の氏名や病気のことなどの個人のプライバシーに関する秘密は固く守られ、患者様に関する身体の状態や記録など、プライバシーの保護に充分配慮いたします。
本治療による成果については、今後の治療に役立てるため、医学に関する学会、研究会などでの発表、論文などでの報告をさせていただくことがあります。その際には規定に基づき、患者様個人を特定できる内容が使われることはありません。
診療記録の保管について
本治療の診療記録は、法律の定めに従い最終診療日より原則10年間保管いたします。
細胞提供者の健康、子孫に受け継がれる遺伝的特徴について
当該治療技術は、ご自身の細胞から作成された細胞加工物を用いるため、遺伝的特徴に関する知見を得られるような検査は行いません。また、細胞加工工程において遺伝的素因が確認されるような手技はありません。
取得された試料等について
本治療において得られて成果は、その後の医療の発展に寄与する目的で、時に国内・国外の医療機関・医学研究機関で共有されることがあります。より良い医療技術の開発のため、患者様の同意を得ることなく、特別に学会や学術誌などに治療結果が公表される可能性があります。しかし、患者様の個人情報は一切特定できないように、連結不可能な匿名化の下に実施されますのでご了承ください。
その他
- 当院はチームで医療を行っております。担当医の他に、看護師など複数の医療スタッフが必要な処置を担当する事がありますのであらかじめご了承ください。
- また、この説明書に記載されている治療の経過や状態などはあくまで平均的なものであり、個人差があることをご了承ください。万一偶発的に緊急事態が起きた場合は、最善の処置を行います。
- なお、治療に関して患者様が当クリニック及び医師の指示に従っていただけない場合、責任を負いかねますのでご了承ください。
PFC-FD™療法とは
ひざ関節治療にPRPを応用した治療法です。
患者さまご自身の血液から抗炎症作用などを持つ「成長因子」を抽出し、独自の技術で凍結乾燥されます。それを関節内に注入し、痛みの緩和や損傷部分の機能改善を目指します。
保険適用外の診療(自由診療)となっております。詳しくはスタッフにお尋ねください。
PFC-FD™のポイント
- ご自身の血液を使う治療だから安心です。
患者さまご自身の血液を使うオーダーメイド治療のため、アレルギー反応等のリスクが少なく安心です。 - 痛みや腫れが少ない関節に優しい治療です。
炎症を抑える作用が特徴で、注射後の痛みや腫れも少なく関節に優しい治療です。 - 治療は注射だけなので手術や入院は不要です。
治療は関節への注射だけ。
治療を受けたその日に帰宅できます。 - 効果には個人差があります。
成長因子の働きによって効果の出方が異なるため、効果にばらつきがあります。 - 治療は採血から3週間後です。
専門機関で加工するため、採血から注射までにおよそ3週間程度かかります。
治療の方法
- ①問診・診断
- 関節の痛みや違和感の程度、これまで行ってきた治療についてお伺いします。
- ②採血
- 約50mlの血液を採取し、専門機関に送ります。
- ③検査・加工・凍結乾燥 (およそ3週間)
- 検査後に特殊な技術(成長因子混合物およびその調整方法)を用いて加工・凍結乾燥されます。
- ④患部へ注射
- 採血からおよそ3週間後に再度ご来院いただき、関節に注射して治療は完了です。